161 / 405

第161話

『大丈夫だよ、探せばきっと見つかるから!』 頼もしくコウちゃんは言う。けれど不安が拭えないボクは、涙目で彼の顔を仰ぎ見た。 『でも、でもっ……もし、見つからなかったら?』 『その時はおれたちが仔猫の面倒を見てあげよう! 寂しい思いさせないようにいっぱい可愛がってあげるんだ、ね?』 『―――うんッ!』 同意を求めるように顔を覗き込まれて、ボクは涙を拭って勢い良く頷く。それからコウちゃんと仲良く手を繋ぎ、二人で大きな庭の探索を開始した。 だけど仔猫のいた場所がうろ覚えだった所為で、今度はボクたちが迷子になってしまう。 陽が沈み辺りがオレンジ色に染まる頃にはまたボクは涙目になり、コウちゃんに引き摺られる形で歩みを進める。 もうここがお庭なのかお外に出てしまったのかさえわからない。でもコウちゃんは自分も寂しくて怖い筈なのに、一生懸命ボクのことを慰めてくれた。 『もう少しでおうちに帰れるから大丈夫だよ!』 『うん、でも……コウちゃん、怖いよ……』 『何があってもおれが守ってあげるから、もうちょっと頑張ろう?』 『うん、わかったよコウちゃん』 その時ボクの頭の中に突然声が木霊した。 それは鈴の音のように透き通っていて、とてもキレイな女の子の声だった。 ―――フフフ、あなたはそうやってずっと人に迷惑を掛け続けて生きていくの? 『…………う?』 ――― 私の欲しいものをすべて持っていながら、コウちゃんまで手に入れようだなんて図々しい人……。 『あなたは誰? ボクがすべてを持ってるって……どういうこと?』 ―――私はあなたの影……でもあなたが彼を奪うというのなら、私もあなたのすべてを奪うまで……。 『……ごめ…なさい、言ってる意味が…分かんない』 ―――ねぇ、取り替えっ子しましょ?ほらっ、 『今から私があなたであなたが私……、それはもう死ぬまで変わらない。あなたとっても可哀想、クスクス♪』 ―――え? あっ……どう…して!? なん…で? いやぁあああッ!!? 夢から覚めたように目を開けると、そこにはもう一人のボクがいて、ボクの首を細くて白い腕で絞めていた―――…。

ともだちにシェアしよう!