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第161話
『大丈夫だよ、探せばきっと見つかるから!』
頼もしくコウちゃんは言う。けれど不安が拭えないボクは、涙目で彼の顔を仰ぎ見た。
『でも、でもっ……もし、見つからなかったら?』
『その時はおれたちが仔猫の面倒を見てあげよう! 寂しい思いさせないようにいっぱい可愛がってあげるんだ、ね?』
『―――うんッ!』
同意を求めるように顔を覗き込まれて、ボクは涙を拭って勢い良く頷く。それからコウちゃんと仲良く手を繋ぎ、二人で大きな庭の探索を開始した。
だけど仔猫のいた場所がうろ覚えだった所為で、今度はボクたちが迷子になってしまう。
陽が沈み辺りがオレンジ色に染まる頃にはまたボクは涙目になり、コウちゃんに引き摺られる形で歩みを進める。
もうここがお庭なのかお外に出てしまったのかさえわからない。でもコウちゃんは自分も寂しくて怖い筈なのに、一生懸命ボクのことを慰めてくれた。
『もう少しでおうちに帰れるから大丈夫だよ!』
『うん、でも……コウちゃん、怖いよ……』
『何があってもおれが守ってあげるから、もうちょっと頑張ろう?』
『うん、わかったよコウちゃん』
その時ボクの頭の中に突然声が木霊した。
それは鈴の音のように透き通っていて、とてもキレイな女の子の声だった。
―――フフフ、あなたはそうやってずっと人に迷惑を掛け続けて生きていくの?
『…………う?』
――― 私の欲しいものをすべて持っていながら、コウちゃんまで手に入れようだなんて図々しい人……。
『あなたは誰? ボクがすべてを持ってるって……どういうこと?』
―――私はあなたの影……でもあなたが彼を奪うというのなら、私もあなたのすべてを奪うまで……。
『……ごめ…なさい、言ってる意味が…分かんない』
―――ねぇ、取り替えっ子しましょ?ほらっ、
『今から私があなたであなたが私……、それはもう死ぬまで変わらない。あなたとっても可哀想、クスクス♪』
―――え? あっ……どう…して!? なん…で? いやぁあああッ!!?
夢から覚めたように目を開けると、そこにはもう一人のボクがいて、ボクの首を細くて白い腕で絞めていた―――…。
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