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第176話〜全部ボクのせい?〜

次に目が覚めたらボクはここ数日で馴染みつつある、倉庫二階の奥まったところにあるお部屋のベッドの上にいた。 キングサイズのそれの真ん中に寝かされ、左の腕には細い管がついた点滴が抜けないように、しっかりとテーピングで固定されている。 キョロキョロ辺りを窺うのだけれど此処には窓がないので、時間の感覚がまったく分からない。 今は何時くらいなのだろう……? まだ覚醒しきっていない頭をフル回転させ、意識を失う前の記憶を必死に呼び起こそうとするも、頭の中が霧が掛かったようにぼんやりとしていて思い出せなかった。 すると横から何か物音が聞こえてそちらに顔を向ければ、ベッドの淵に背中を預けて座る煌騎の姿が見える。 そして目を覚ましたボクに気づくと彼は腰を上げてベッドの端に座り直し、心配そうにこちらを見下ろしてきた。 どうやら彼はボクが目覚めるまでベッド横の床に座り込んでいたらしい。目が合うと気まずそうにだけど口端を緩やかに上げた。 「………チィ、大丈夫か……」 「……うん、だいじょぶだよ。煌騎がここまで運んできてくれたの?ありがとっ」 これ以上は心配を掛けないようニッコリ微笑むと、煌騎は何故か複雑そうな顔をする。 それから照れ臭いのかプイッとそっぽを向いて、でも直ぐに反省を滲ませた表情になった。 「礼を言う必要はない。元はといえば俺のせいでこんな事になったんだからな……」 そう言って彼はボクの額に大きな手を乗せる。軽く熱を測るとそのまま、頭や耳の後ろなどを擽りながら撫でていった。 そして滑るように頬も撫でると顎へ辿り着き、クイッと指先だけで少しボクの顔を上げさせる。 最後に煌騎の顔が近付いてきてボクの唇にちゅっと彼の唇が触れ、その間熱い眼差しを向けられて惚けたようになっていたボクは真っ赤になって慌てた。 「なっ、なんで?……ど…して……!?」 発作を起こした時は平然と受け入れられていた事なのに、彼への想いを自覚したからか"それ”をされて煌騎の顔がまともに見れなくなる。 あまりの動揺に吃りながら問うと、彼は僅かに眉根を寄せながら分からないというように首を傾げた。 よもや自分の言ってる言葉が彼に伝わらなかったとは思わないボクは、答えが返ってこない事にちょっとムッとする。

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