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第184話

トテトテと杖を突きながら煌騎の元へ戻ってくるまでのその僅かな間に、そこには素敵なピクニックセットが設置してあった。 薄いマットの上にピンクの花柄が描かれた可愛いレジャーシートが敷き詰められ、ふかふかのクッションも何個か置かれている。 そしてその隣には大きくてカラフルなパラソルがあり、机代わりの長椅子の横に固定されていて直射日光を遮ってくれていた。これなら長時間ここにいても快適に過ごせそうだ。 先にパラソルの下に腰を下ろし、クーラーボックスから何本かお茶を取り出していた虎子ちゃんが、ボクに向かっておいでおいでをする。嬉しくなってしっぽを振る勢いで彼女の元へ駆け寄った。 「虎子ちゃんっ、コレどうしたの!?」 「ふふん、もちろん用意したのよ。チィが今日からここに通うって聞いたから♪」 「もしかして虎子ちゃんがこれ全部、ボクの為にわざわざ用意してくれたの?」 そう聞けば彼女は照れくさそうに笑う。前の日に和之さんから事情を聞いていた虎子ちゃんは、少しでも早くボクがこの学校に馴染めるようにとこれらを用意してくれたらしい。 他にもクーラーボックスには高級レストラン顔負けの和之さん特製お弁当が入っているし、朔夜さんは暇潰しにとボクでも出来そうな卓上のミニオセロやゲームが沢山ダウンロードされたタブレットを持参しているという。 虎汰は昨日も見せてくれた、あの山のようにある御菓子を長椅子の上に広げてくれた。 残念ながら流星くんは用意するものが思い浮かばなかったので、今回は虎子ちゃんが用意した物を運ぶお手伝いをしたと申し訳なさそうに言う。 皆の優しい気遣いにボクは胸がいっぱいになった。

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