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第222話〜これがボクの運命〜

車の後部座席に乗せられて数時間が経った頃、ボクは元いた場所から遠く離れた街のある建物の前で降ろされた。 一緒に同乗していた亜也斗も車を降りたのだけど、彼はボクを置いて何故かひとりで構わず歩いて行ってしまう。 どうしていいか分からず戸惑っていると、亜也斗がやっと振り返ってさっさとついて来いとでも言いたげに睨んできたので、慌てて彼の後を追った。 そして目の前の薄気味悪い建物の、地下へと続く短い外階段を降りていく。 そこから建物の中に入ると入口付近はもっと薄暗くて人影も疎らだったのに、全身黒ずくめの男の人が観音扉を両側から開くと途端に大音量の音楽と、人の波が押し寄せた。 ―――ここは一体ドコなのだろう……? 室内は暗いのにチカチカする赤や青の照明のせいで、ただでさえ杖のないボクは平行感覚を失い真っ直ぐには歩けない。 辺りを見渡せば年齢もバラバラの男の人や女の人が焦点の合わない目を宙にさ迷わせ、狂ったようにゆらゆらと身体を揺らして踊っていた。 その異様な光景にボクは思わず身体が竦む。 でも亜也斗は気にした風もなくそのまま歩いて奥へ行ってしまうので、歩幅の違うボクは離れちゃいけないと必死についていった。 黒い服を着た背の高くて怖い感じの男の人の案内で、VIPルームと書かれた部屋の前まで通されるとその重圧な扉を開け、まず亜也斗を先に通してから無言でその人はボクを中に押し込んだ。 「ここにおいでおチビちゃん、キミに素敵なプレゼントがあるんだ。きっと気に入るよ?」 背中を押されつんのめるボクに構わず亜也斗は部屋の奥へ行き、ボクを中に押し込めたその男の人が腕を掴み強制的に引っ張って彼の前へと連れて行く。 そして独裁者のように一人掛けソファへ座った彼の足下へ、跪くように放り投げられた。勢いよく転げる間抜けなボクを見ても、亜也斗はフンと鼻で笑い上機嫌で見下ろすだけ……。 辺りをキョロキョロ窺いながら、恐々と目の前にいる彼に顔を向けた。 「この首にピッタリの首輪を用意してあげたよ。ほら、今日から俺がキミの新しい飼い主だ。いっぱい可愛がってあげるから楽しみにしているといい♪」 そう言って亜也斗は嬉しそうに笑い、その黒い革製の首輪をボクの首に少しキツ目に装着する。 その間も彼はこちらの恐怖心を煽るように、ワザと獲物を狙う獣のような眼差しで口角を吊り上げて舌舐めずりをした。

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