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第229話 ※【R-18】

「……ふぅっ……ん……っ…ンん………」 亜也斗が食い入るようにボクたちの絡み合った姿を見つめている。その熱い視線に身の内まで焼かれてしまいそうでツラい。 けれど彼から目線を外すなと言われているから、必死で亜也斗の瞳の奥を見続ける。 先ずはノーマルなシーンからと、別室で控えていた吉良さんと共にボクは即席ベッドへ上がった。 撮影が始まったのは今から1時間ほど前……。 ベッドの縁に座ると水の入ったコップと1粒の錠剤を手渡され、それを飲むように指示された。見覚えのあるその錠剤にボクの手はぶるぶると震える。 これを飲むと自分の意志とは関係なく身体が敏感になってしまい、何をされても反応して気が狂いそうになってしまうのだ。 だから本当は飲みたくない……。 でもボクにはもうその選択を選ぶ自由すらなかった。迷っていても最後には無理やり飲まされるのは分かっているのに、なかなか手が動かせない。 するとその時、横から吉良さんがその錠剤を奪い自らの口に含んでしまう。 そしてガリッと口の中で細かく噛み砕くと、自分の持っていたペットボトルの水を口に含み、それからボクの顎を掴んで固定して唇を重ね合わせてきた。 突然のことに驚き思わず微かな抵抗を示してしまったけれど、有無を言わせず舌をねじ込まれて喉の奥に流し込まれ、コクンと()()を嚥下してしまう。 「あ~あ、そんなことすれば自分もドラッグの成分を摂取しちゃうのにバカだなぁ……。ま、俺はそっちの方が面白くなっていいけど♪」 嘲るように言う亜也斗をムシして吉良さんは尚もボクの口の中を貪り、クチュクチュと卑猥な水音を室内に響かせた。 やがて薬の苦味が消えた頃ボクはゆっくりとベッドの上に押し倒され、両手を頭の上に縫い留められる。 吉良さんは暫く眺めるように上から見下ろしていたけど、薬の効き目が現れ始めたのか段々と呼吸が荒くなり、同じように呼吸が乱れ始めたボクの首筋に顔を埋めた。 「止めてはあげられないけど、なるべく優しくするから……。悪いが耐えてくれ」 「………う?………あっ……あ、ン……んんっ」 チュッチュッと首筋に唇を這わしながら、彼にこっそりとそう耳打ちされる。 (そっか、吉良さんもこれは不本意なんだ……) そう思うとそれ以上はボクも抵抗できなくなり、両目を固く閉じてすべてが終わるのをただじっと待つことにした。

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