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第238話 ※【R-18】

もしその噂が事実なら想像し難い境遇にチィは置かれているハズだ。だが俺はすぐさま頭を振り、その思考をなんとか頭から追いやった。 今は負のスパイラルに囚われている場合ではない。それにいざという時、判断を誤り自身が暴走し兼ねなかった。 それよりも迅速にあいつの居場所を突き止め、安全かつスピーディにチィを助け出さねばならない。 考えは皆同じなのか、和之の指が高速でキーボードの上を叩くのを誰も口を挟まずただ静かに見守った。 会員制のサイトな為ログインするのに手こずっていたが、和之は別のファイルからアプリを引っ張り出し強制的に入り込む。おそらくはそれも朔夜が創ったものなのだろうが、今はなにも見なかったことにする。 「ここは動画をライブで流すのは完全予約制のようだ。予告欄にチィの名前が載ってる。『処刑(プレイ)まであと3時間、それまではWebサイトで男同士のアダルト動画をアップするから暇つぶしにどうぞ』って……クソッ、ふざけてやがる!」 すぐさま和之は先ほどの検索画面に戻し、新着欄にあったもうひとつの検査結果を画面に出す。そこには個人のライブ動画を流せるサイトのアドレスが表示されており、今度は簡単に入ることができたようだ。 しかしそれを開いた瞬間、俺たちは全員息を呑み言葉を失った―――…。 画面上には大きなベッドに真っ白なシーツだけが目立つような薄暗い部屋の中で、チィが自分よりも遥かに大きな男に無理やり組み敷かれ、腕を掴まれたまま後ろから貫かれている姿が映し出されていたからだ。 そして涙を流しながら苦しそうにあいつは許しを乞い続けている……。 『………ごめ……なさいっ、んぁっ……あっ、ごめ……な…さぃ、も……許してっ……ンん……あぅんっ』 その声はあまりに悲痛で、これ以上観ていられなかった。だが乾いた肌と肌がぶつかる音と共に、濡れた淫靡な水音がクチュクチュとスピーカーから(もたら)される。 俺は堪らず席を立つと壁際まで近寄り、そこへ怒りのままに己の拳をぶつけた。 「―――クソッ! クソッ!! クソがあぁぁッ!!」 なぜ俺はあの時チィの傍を離れてしまった!? あれほど常磐にも『()()()()()』にも警戒を怠らず、反撃の準備も進めていたハズなのに―――…ッ!!

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