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第239話 ※【R-18】

(おご)ったつもりは1度としてないが、ひょっとしたら心の奥底では己を過信していたのかもしない。 そう思うと余計に腹が立ち自分が心底許せなかった。 何発も喰らった古い壁は元々脆くなっていたのか、その衝撃を受けていくつもの亀裂が生じ軽く窪んだ。 だが同時に俺の拳も傷つき、微かにだが壁を血で汚してしまう。 雪が慌てて俺に駆け寄り傷の手当てをしようとしたが、俺はそれを乱暴に振り払ってしまった。悪いと思いつつも荒くなった呼吸を整え、荒ぶる気をなんとか鎮めて元の席へと戻る。 「和之、追跡できるか」 「―――もうやってるっ、だが幾つも経由しているようだから朔夜みたいには上手くいかない! 特定に時間がかかりそうだっ」 「泣き言はいい、それから映像にもヒントがないか探せ。何ひとつ見逃すな」 あくまで冷静に俺は指示を与えた。 それに皆も無言で頷く。本当なら親しい者が犯されているライブ映像など観たくはないだろう。しかし今は手がかりがこれしかない。 画面ではチィが四つん這いから膝立ちにさせられ、後ろから抱き締めるような形で尚も犯されている。 そして無理やり後ろを振り向かされて背後にいる男と唇を重ね、舌を強引に口の中へ捩じ込まれて息苦しそうにしていた。 『ンんぅっ……ン……んぁっ……んむぅ……』 舌を根元から絡め取られ、口内を余すことなく相手の舌で犯されたチィの口端からは、どちらのものか分からない唾液が零れ顎を伝ってシーツに幾つものシミを作る。 舌を交わせたまま男は抱き締める腕を解き、その手を胸へと運んで真っ赤に熟れた2粒の実をしつこく爪で引っ掻いたり、指で強く挟んで限界まで引張ったりした。 『んやぁあっ……それ、やぁっ……痛ぃ……のぉっ』 『ダメだ、逃げるな。それに言っただろ? お前が望むことはすべて叶えてやらないと……』 その時スピーカーから聞こえてきた男の声に、皆が驚愕の声を上げる。その声は間違えるハズもなく吉良のものだった。 画面を確認すれば男の左肩には蛇黒のシンボルでもある、漆黒の蛇が腕に巻きついたような模様のタトゥーが彫られている。 それを観た瞬間、身体中の血液が沸騰するのではないかと思うほどに怒りでカッと熱くなった。

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