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第240話 ※【R-18】

あれほどチィは奴に信頼を置いていたのに…… ただの偽りだったとしても亜也斗から自分を守ってくれたあいつを、無垢なチィは疑うこともせず信用してしまっていた。 和之辺りが一応は警戒するようにと注意を促したみたいだったが、優しくしてくれる者を完全に拒むことはできなかったのだろう。 それでも俺が警告していれば、或いはチィは聞き入れたかもしれない。あいつにとって俺は絶対的な存在だったのだから……。 なのにそれを俺は敢えてしなかった。まるで生まれたばかりの赤子のように純真で穢れのない心を持つチィに、人の穢い部分をどうしても見せたくなかったのだ。 ―――その結果がこれか……。 俺のエゴのせいであいつはいま常磐たちに囚われ、信頼を寄せていたハズの男に裏切られ凌辱を受けている。 チラリと視線を画面に向ければチィは膝立ちのまま片脚を軽く持ち上げられ、更に深く吉良のものを受け入れさせられていた。 そこにカメラが寄り、2人の繋がった局部を画面いっぱいに映し出す。もう何度も中に出されたのだろう、結合部にはなんの液体だか分からなくなったものが摩擦により泡立っていた。 「…………あっ………」 暫くしてカメラが引き寝具全体が映し出されると、和之の背後から画面を睨みつけるように観ていた優心が口を開く。 何か手がかりでも見つけたかと奴を見ると、後ろから腕を伸ばして映し出される画像の隅を指差す。 「このサイドボードの上にある灰皿、確か隣街にある『BASARA』というクラブの非売品のものに似てませんか?」 「あ~、ホントだ。似てるっちゃ似てるけど…でも、暗くてよく分からないな」 虎汰がそうボヤくと和之が画像を処理して素早く画面を明るくした。 そこには確かに『BASARA』オリジナルの灰皿とよく似たものが映し出されている。 薔薇の形を模したそれはわりと人気が高く買いたいと求める客が後を絶たないらしいが、店側は売るのを拒んでいるため一般にはまだ出回っていないハズだと優心が補足して言う。 そしてそのクラブは経営者の娯楽で創られたため、他店舗はなく隣街のそこにしかないらしかった。 となるとチィは此処(BASARA)にいる可能性が高い……。 だがまだ決定打が足りない。迂闊に動いたりしてもしそれが誤りだった場合、ここと隣街を往復するのに最低でも3時間は掛かる。 いまそんな危険(リスク)は犯せなかった。 チームを二手に分けるかリスクを承知でクラブに直行するか、和之と虎汰の間でも意見が割れる。 そして全ての決定権を持つ俺に皆の視線が注がれた。 「―――あっ、待ってください! 今ググッたらここの経営者、常磐グループのSEOとも懇意にしているらしいです。なんでもSEOとは高校の時の同級生だそうで、経営難に陥ったクラブを立て直して貰った事もあるとか!」 「本当かッ!?……うん、『BASARA』の経営者は今じゃ社長の頼み事は何でも聞いちゃうとも書いてある! これもう間違いないじゃん、どうする煌騎?」 スマホを片手に雪が興奮したように言い、虎汰は飛びつく勢いで後ろを振り返ると彼からそれを奪い取り、己の目でも確認する。

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