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第254話
「―――やめろ常磐ッ! そんなことして何の意味があるッッ!!」
「はあぁっ!? 意味ぃ!? そんなもん初めからあるわけないだろっ、バカじゃない? あはははっ」
動揺する皆に見せつけるようにボクの首筋をひと舐めし、ボクの身体を完全に彼へと引き渡した。
無言で受け取った吉良さんは少し躊躇したけど、諦めたように息を吐くと前を寛げ始める。
そこは先ほどまで和之さんらと死闘を繰り広げていたせいか、本能に忠実に従った状態で既に膨張し上を向いていた。
そしてボクを自分の前に座らせ、背後から両方の膝裏に手を入れて身体を持ち上げそっとそこへあてがう。
狙いを定めてゆっくりと落ろせば、彼自身のものはボクの重みでズブズブと中へと飲み込まれていった。
1度受け入れただけあって、それは容易に根元まで収めることができてしまう。
挿れた傍から抽挿を激しくされ、パチュンパチュンと肌がぶつかる音がした。心は壊れているのに身体はその刺激に浅ましく反応する。
「あっ……あぁん……ん……あっ……あぁぁぁ……」
出したくもないのに喘ぎ声が漏れてイヤだ。でもボクにはどうしようもできない。虚ろな目で視界に映る煌騎をただ呆然と見ていた。
「茨、こっち向け」
「……んっ、んんぅ……ン……んむぅ………」
言われて素直に後ろを振り向けば唇を塞がれる。舌を絡み合わせてチュクチュクと吸い合い、唇を離し舌を差し出しては互いを舐め合う。
さっきの撮影で散々教え込まれ、何度も強要された口付け……だった。みんなに見られたくないのに身体は勝手に従ってしまう。
気がつけばボクの目からは何の感情もないのに、大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちていた。
「……ンん……っ……んああぁぁぁんッ!?」
「―――チィッ!? くそっ、やめさせろ常磐ッ! 痛めつけたいなら俺にすればいい!! だからっ……だから吉良、頼む……もうやめてくれっ!!」
あの煌騎が悲痛な叫び声を挙げている。
いつでも冷静で何をするにも落ち着きのある彼が、ここまで取り乱して懇願するのをボクは初めて見た。
まだそんなに長くは一緒にいなかったけど、意外な一面を見てボクの胸の奥のほうが燻って痛い。
もう考えることは止めたいのに、どうして彼のこととなると考えずにはいられないのだろう。
煌騎がこんなにも必死にお願いしてくれているのに、けれどそれでも吉良さんの激しい律動は止まらなかった。
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