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第255話

おそらく彼の主である亜也斗がやめろと言わない限り、これは永遠に終わらない。けれどその時……、 ――――バタアァァァァンッ!! フロア全体に一際大きな物音が響き渡り、大勢の青い制服を着た男の人たちが次々となだれ込んできた。 何事かとその場は騒然となったが、どうやら和之さんから連絡を受けた健吾さんが警察に通報し、ようやく現場に駆けつけたようだった。 「お前ら全員動くなっ、警察だ!」 「―――なッ!?」 残っていた者は瞬く間にみんな包囲され、警察の手によってその場にねじ伏せられ拘束されていく。 「―――くそっ、離せッ! お前らなんかに構ってる暇はないんだ!! チィをッ……あいつを助けてやらないと……チィッ! チィッ!!」 煌騎はそれらに最後まで抵抗し、何度も名前を呼んで床に投げ出されたボクに手を差し伸べようとしてくれた。 けれども大勢の警官に取り押さえられ、なかなかこちらへは近づけない。 すると隣にいた和之さんが自分も数名の警察官に取り押さえられながら、騒然とする中で声を張り上げ彼に抵抗するなと警告する。 「煌騎ッ、今は抵抗しても仕方がない! ここは一旦彼らに任せよう!!」 「―――しかしッ!?」 「こうなってはどうしようもないっ、抵抗すれば逆にこちらの立場が悪くなる! そうなればもうチィを守ってやれなくなるぞ!!」 「…………………分かった」 煌騎は彼にそう諭され、やっと抵抗することを止めた。そして両脇を警官に挟まれて渋々と外へ連れ出されていく。 同じように和之さんや虎汰も強制的に拘束され、制服を着た男の人たちに連れていかれた。 亜也斗はそれを愉快そうに眺めていたが、彼の周りにも警察官が取り囲み逃走経路を絶つ。 しかし彼は負傷しているため応急処置を優先され、白衣を着た救急隊の人が駆け付けて治療を施していた。 だが彼が今回の首謀者だと既に知られているのか、暫くして黒っぽいスーツを着た男の人たちが来て担架に乗せられた亜也斗に並行して彼らもついていく。 その際に彼はボクを憐れむように見て『ごめんな』と、声もなく呟いたような気がした。 それがどういう意味だったのかは分からない。 ひと通りフロアにいた者が連れていかれた後、少し年配のお巡りさんがやってきてボクに毛布を掛けてくれたのだった……。

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