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第291話

特に丸みを帯びたお尻はとても柔らかそうで、知らず手が伸びそうになった。その気持ちをグッと堪えながら、両手は彼の頭皮をやわやわとマッサージするように洗う。 しかし頭の中ではその双丘を割開き、今は慎ましやかな蕾を外気に晒す想像をしていた。あれだけ彼を抱くことに迷いがあったのに、男の(サガ)はこうも俺をあっさりと裏切る。 だがここにかつて数多の男たちが男根を捩じ込み、欲望をぶちまけていたのだと思うと腸が煮えくり返りそうになった。 そしてひと月前には吉良も、ここに自身を埋め込んだのだ。その時の光景は今でも忘れられず脳裏に焼き付いている。 正直に言えば俺も欲望のままにチィの身体を貪りたい。だがそんなことをすれば、チィは今度こそ壊れてしまうだろう。そんな姿はもう見たくなかった。 「チィ頭、痒いトコない? ないなら流すよ」 「うん、だいじょっ……わぷっ」 「あっ、ごめん!? チィ、大丈夫?」 上から降ってくるシャワーの湯が喋ったことで口に入ったらしい。シャンプーの泡が目に入らないよう両目を手で押さえていた彼は、慌ててその手を口元へ移動させたが今度は泡が目に入り痛い痛いと騒ぐ。 手早くシャンプーの泡を洗い流してやり顔を覗き込むと、チィは目が開けられないのか両目を瞑ったままだがニコリと笑った。 「うふふ、びっくりしちゃった。まだちょっと痛いけどだいじょぶだよ、和之さん」 無邪気にそう言う彼の唇が蒸気に温められ、熟れた果実のようにほんのりと朱に染まっていて目が離せなくなる。 気がつけば俺はその唇に吸い付いていて、何度も唇を重ねながら時折舌で柔らかなそれを舐めて味わっていた。 その間チィは驚きつつも俺を受け入れてくれていて、首に腕を回ししがみついてくる。そうなると自然と裸の身体は密着し、俺の忍耐力が擦り切れてしまいそうになった。 このままではいけないと慌てて唇を離したが、チィはそれが不満のようで唇を尖らせる。 「やっ、和之さんもっと……チュウして? ボク和之さんとチュウするの好きなの」 「チィ……分かった、お風呂から上がったら沢山してあげるからとりあえず身体を洗おう…ね?」 その場を取り繕うようにそう宥めれば、彼も不承不承ながら聞き分けてくれホッとする。

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