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第313話
今日のところはとりあえず健吾さんのドクターストップがかかり、ボクは大事をとって学校をお休みする事になった。
その間に今は不在の白銀さんと相談し、これまでの警戒体制を見直して整えるのだと和之さんは教えてくれた。
本当はつい先日も入院したばかりで普段も教室に通えていないため、なるべく学校には登校し出席日数を稼いでおかなければいけないらしいのだけど、今回は緊急を要するので仕方がないとのとこと……。
「ねぇ和之さん、ボク……留年しちゃうの?」
今日1日ベッドの上で過ごす事が確定したボクは、暇を持て余し枕もとにあったクッションをぎゅうっと腕に抱き締めて、ベッド脇に座る彼に声を掛けた。
すると和之さんは目を瞬いて驚き、でも直ぐに我に返ると苦笑いを浮かべる。
「何を突然言い出すかと思ったら……誰からそんなこと聞いたんだ?」
「ん、虎汰と流星くんが……」
先程トイレに行こうと立った時、たまたま廊下で2人が話してるのが聞こえてしまったのだ。その事を伝えると彼は更に苦笑いを深くした。
そして宥めるようにボクの頭を撫で、いつものように優しく微笑んで大丈夫だと言ってくれる。
「あの学園は健吾さんの知り合いが理事長を務めてるし、いざとなったら朔夜が何とかしてくれる。だからチィは何の心配もしなくていいんだよ、ね?」
「うぅ、でもボクみんなに迷惑ばっかり掛けてる」
和之さんが慰めてくれればくれるほど、ボクは更に落ち込んでいく。自分は此処に来てからというもの、皆にただ護られてるだけの存在になっているような気がしていたからだ。
それが心苦しくて仕方がなかった……。
だから何か彼らに恩返しがしたいのに、ボクときたら何もできなくて情けない。そう素直な気持ちを彼に吐露すれば、和之さんは「何だそんなことか」と笑う。
ボクは真剣に悩んでいたのにとぱっと俯いた顔を上げたら、彼は満面の笑みを浮かべてボクを見つめていた。
「チィは何もしなくていい、だって俺たちはもう数えきれないほどキミからかけがえのないものを貰ってるんだからね」
「ふぇっ!? ボク、何もあげれてないよ?」
「ふふ、そうじゃないよ。チィはそこにいるだけで俺たちに元気をくれているんだ」
和之さんはさも当然というように言って微笑む。ボクからしたらその笑顔のほうがみんなを幸せな気持ちにさせてるのに、そんなことを言われるとは思ってもみなくて驚く。
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