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第315話
「三角さんは~ここで~、四角いのは~ここぉ?」
今ボクは丸や三角のブロックを、同じ形の型にはめ込むという玩具に夢中になっていた。
それはお見舞い品として健吾さんに貰った玩具なのだけれど、それが知能を育む6歳児用のパズルゲームだとは知らずにやっている。
まぁ早い話が和之さんが流星くんに呼ばれ、数時間前に部屋を出て行ったのでヒマだったのだ。
入れ替わりに朔夜さんがボクの相手をしてくれてたんだけど、彼もまた呼ばれて出ていってしまった為、ひとり寂しくベッドの上で遊んでいる。
健吾さんは仕事があるからと帰ってしまったし、虎汰と虎子ちゃんも学校の様子が気になるからと一応は登校した。倉庫に残っているみんなも何だか慌ただしい雰囲気で忙しいみたいだ。
昼からは白銀さんのバイクの音が外から聞こえてきたので、彼も戻ってきているのだろう。
何かあったのかなって心配になったけど、ボクなんかが気を揉んでも大した役にも立たないので、なるべく気にしないようにしている。
最後のブロックパズルを型に嵌めて完成したところで、ドアをノックくる音が部屋に響いた。
此処は和之さんの部屋だから本来ボクがお返事しちゃいけないんだけど、今は不在だから代わりに返答しても構わないよね?
ちょっと躊躇ったけど相手を待たせちゃいけないと思い直し、ボクは慌てて「はいっ」ってお返事した。
すると暫くして扉はゆっくりと静かに開き、入口に立っていた白銀さんが高身長の頭をドア枠にぶつけないよう少し屈んで中に入ってくる。
その顔は何故か不貞腐れたような、でも何処か戸惑いのある表情だった。何かあったのかなと彼の顔を注視したけど、ベッドの脇まで来ても白銀さんは口を開こうとしない。
困り果てていると漸く彼が頭を無造作に掻き、目を逸らしたままでぎこちなく言葉を発する。
「すまない、暫く俺がお前の面倒をみる事になった」
「………う?……」
唐突にそう言われてキョトンとなった。
あまりに短過ぎる説明にボクは戸惑いが隠せない。
でもそれを拒絶と捉えられたのか、白銀さんは大きな身体を縮こませ踵を返すと部屋から出て行こうとした。
だからボクは慌てて白銀さんを呼び止める。
「あっ、あのっ……違うの、ボク……ヤじゃないよ」
「……………………本当か?」
振り返って不安そうに尋ねる彼は、ボクの庇護欲を大いに刺激するものだった。
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