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第353話

気がつけばボクはひとつの扉の前までたどり着いていた。ここを抜ければ外へと出られるハズだ……。 一旦センセのことは胸に仕舞い、ぐっとドアのノブに手を掛ける。それを回してこっそり中を覗けば、そこは教えられていたような部屋ではなく何かの倉庫のようだった。 「………あれ、なんで?」 疑問に思ったがとりあえず薄暗い室内に入ってみる。そしてキョロキョロと辺りを伺っていると、急に部屋全体が明るくなった。 それが誰かが電気を付けたのだと分かり、咄嗟に身を隠そうとするが何も置かれていない室内でそれは不可能に近く、ボクは馬鹿みたいに右往左往する。 そうしてる間に正面にある扉から、さきほどとは違う男の人たちが次々と中に入ってきて、ボクは慌てて来た道を戻ろうとした。 だけどそちらからも人が来てしまい、あっという間に周りを取り囲まれてしまう。ボクはどうしたらいいのか分からず泣きそうになった。 「ダメだろ、部屋を勝手に抜け出しちゃ……。上じゃいま大騒ぎだぞ。悪い子にはお仕置きしないといけないなぁ」 そう言いながら男の人がひとり1歩近づいてくる。堪らず後ろに後退するがその後ろにも人がいて、ボクは簡単に拘束された。 そして有無を言わさずまた衣服を剥ぎ取られる。彼らに何をされるのか瞬時に分かったボクは力の限りに抵抗したが、まるで子供をあしらうようにいとも簡単に服は脱がされてしまった。 しかし男の人たちはボクの身体を隈無く見るだけで何もしてこない。それどころか何かを探すように腕を取って裏側を見たり、背中を摩ってみたりする。 おかしな行動にボクも不審に思い首を傾げるが、そんなことはお構いなしだ。 「おかしいなぁ、基さんの言ってたヤツ全然見当たらないぞ。てかこんな冴えない奴がホントにあの“伝説の彫り師”の孫なのかよ?」 「らしいけど、()()()()がないところを見るとやっぱ偽物かもな」 「はぁっ!? なんだよ、それじゃ基さん10年間も偽物掴まされてたのかよッ!?」 「バカッ! 声がデカいっつの!!」 驚く男の人にもうひとりの男性がそれを嗜める。ボクには何の事だかさっぱり分からない。 何が“偽物”なのだろう、もしかしてボク……?

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