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第363話

双子ゆえに周りから常に自分たちは比較され、実の親さえもより優れたほうを家の後継ぎにすると宣言されていた。 だがどちらかというと天才肌だった叔父さんは大した努力もせず、幼少の頃までは努力して何事も習得するボクのお父さんよりも優位に立てていたらしい。 それが高校に進学した途端に立場が逆転した。 コウちゃんのお父さんと出会ってから叔父さんは本来の実力が出せなくなり、その反対にボクのお父さんはメキメキと才覚を開花させていったそうだ。 恐らくは軽いスランプだったのだろう。 自暴自棄に陥った叔父さんは周りに当たり散らすようになり、気がつけば周りにいた取り巻き連中は離れていき誰からも相手にされなくなっていた。 そんな時ボクのお父さんから“家業は自分が継ぐからお前は好きに生きろ”と言われ、父親の承諾も得ず勝手に跡目を名乗り出てしまったのだ。 今まで下に見ていた者から辛酸をなめさせられた叔父さんは、それからボクのお父さんを恨むようになったのだという。 全てを聞き終わった時、ボクは生まれて初めて心の底から怒りが沸き起こるのを感じた。手や肩がフルフルと小刻みに震え、身体中が熱くなっていくのが自分でも分かる。 その中でも背中が特に燃えるように熱かったが、今はそんな事どうでもよかった。 「…………そんな……理由でっ、ボクの……お父さんもお母さっ……も、殺されちゃった……の?」 こんな自分勝手なことってない……。 ただの嫉妬でボクの両親はこの人に殺され、そして最愛の妹は未だ行方知れずのままなのだ。 もしかすると彼女はもう何処か知らぬ土地で不遇に堪えかね、息絶えているかもしれない。そう思うと胸が張り裂けそうだった。 「それに、煌騎まで……奪うつもりだった……!?」 ボクはそれが1番許せなかった。 彼はボクの生きる希望で死ぬ理由だ。自己中心的なものの考え方しかできない叔父さんに、ボクの大切な半身を奪いさせはしないッ!! 「―――そんな事させないからッ!! ボクの命に替えても煌騎は守ってみせるんだからぁッ!!」 力の限りにボクはそう叫んでいた。 次から次へと溢れ出てくる涙をそのままに、キッときつく睨み据えると叔父さんが驚愕に息を呑む。 だけどその瞬間ボクの背中が一際燃えるように熱を発して庇うように身体を抱き締め、小さく呻き声を上げるとその場に崩れ落ちたのだった―――…。

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