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第366話

皆の言葉の端々を聞いて直ぐにこいつらも、和之から事の詳細を聞いて既に知っていたのだと知る。 だとしたら俺がチンタラしてるのを見て、さぞヤキモキした事だろう。さっさと決断せずに悪い事をしたと詫びる。 すると和之が嫌味なくらいに爽やかな笑顔でクスリと笑った。 「本当にすまないと思うのなら、さっさとチィを救い出して幸せにしてやってくれ! 俺たちはそれで満足だ。あの子はやはりお前じゃないとダメなようだからな」 「………分かった、必ず幸せにする!」 強く頷けば席を立った虎汰と朔夜に急かされ、腕を引かれて入口へと導かれる。そこで和之と流星2人と合流して皆で下階に降りていった。 鉄ざらしの階段を駆け下りればそこにはチームのメンバーが総出で出迎え、以前の時のようにチィ救出に名乗りを上げてくれる。 「白銀さんっ、もちろん俺たちも連れて行ってくれるんですよね? もう準備は整ってます、いつでも行けますよ!!」 「フン、今回は傘下の俺たちも連れてって貰うぜ! 倉庫の守り役は奨さんがやってくれるって言ってくれてるしな♪」 強面の()()が前へ出てそう啖呵を切ると、『月影』トップの(かげ)(やま)も傘下を代表して俺に嬉々とした顔で詰め寄った。 皆は当然のように連れて行って貰えると信じて疑わず、闘志を漲らせて静かに指示を待っている。その様がなんとも無骨で、けどチィを救いたいという願いが溢れていて実に頼もしい。 その後ろでは奨と虎子が並んで立っており、留守は任せろと言わんばかりの顔で腰に手を当てふんぞり返っていた。恐らくはさっさと行けと言いたいのだろう。 俺はフッと笑みを零すとまた直ぐに顔を引き締め、ゆっくりと前へ向き直る。 「―――じゃ行くかっ、チィを救いにッ!!」 「「「「オオォオオオーーーッ!!!」」」」 彼等の雄叫びが地を這い倉庫全体をも揺らす。この場にチィがいたなら確実にビビっていただろう。 その光景が瞼の裏に浮かんで俺の心を和ませた。絶対にまたあいつを連れて此処に戻ってくる、そう意気込んで単車に跨りエンジンを吹かした。

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