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第368話
『ご歓談中申し訳ないけど、準備……できたよ』
俺たちが佐田と大地から話を聞く間、朔夜は駐車場にPCやハイテク機材を詰め込んだワンボックスカーを停め、車内で衛星を使って建物内を探っていた。
今は市が管理しているというその土地は、近々大手企業に売却される予定で人の出入りは厳しく制限されている筈だと朔夜は言う。
それなのに隣街のチームが無断で使用しているという事は、完全な黒だと証明しているようなものだった。
『チィに予め取り付けておいた発振器も此処を指してるし、ビンゴだね。既に建物内の見取り図も手に入れて煌騎たちのスマホにも送っておいたよ』
「あぁ、助かる朔夜」
健吾からチィが強い暗示にかかっていると聞いた際、和之が朔夜と相談して発信器を付けておいたほうがいいだろうと提案してきたのだ。
正直、発信 器を仕込むのには抵抗があったが今は本当に付けておいて正解だったと思う。
先を見通す才がある和之と数多の逆境を回避する策を捻出する頭脳を持つ朔夜、この2人が白 鷲 にいれば安泰だなと隣に並ぶ男の顔を横目に見ながら俺はこっそり苦笑する。
もちろん流星や虎汰にも良いところはあり、白鷲には欠かせない存在だが……。
「それで、今回はどう攻める?」
「フフン、そんなの決まってるだろ! 俺たちらしく正面突破で行こうぜッ、な?」
テーブルに片肘をつき前のめりに聞いてくる流星に虎汰は、当然! と言いたげに同意を求めてくる。
だが俺はそれには答えずフッと意味深に口端を上げると、無言のままカップを手に持ち珈琲をひとくち口に含んだ。
「なに、今回は随分と勿体つけるんだな。いつもの正攻法で行くんじゃないんだ?」
なかなか言わない俺に和之は訝しむように片眉を上げたが、それでもその顔は実に楽しそうだ。
俺たちのチームは基本、何事も楽しむのがモットーだからそれでいい。それで“奴ら”にひと泡吹かせれば今回の不満も晴れるというもの……。
興味津々の虎汰と流星に俺は“あるもの”を買いに行かせ、和之には名を挙げたチームのメンバーを数名呼び寄せるように伝えた。
それから数時間後、ゆっくり席を立つと会計を済ませ漸く港倉庫に向かうと皆に伝える。
「こちらも準備は整った。さぁ、俺たちの反撃と行こうか」
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