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第380話〜さぷらいずってなぁに?〜
みんなが見守る中、ボクの背中に浮き上がっていたお母さんの絵は数分後に消えたそうだ……。
自分の背中は見れないので虎汰に尋ねると、周りの肌と馴染むようにスウッて消えちゃったんだって。
それが不思議で首を傾げてると、健吾さんが煌騎の腕に抱かれてボクの気持ちが落ち着いたからだろうって教えてくれた。
でも子供の頃に描いて貰ったのは微かにうっすらと覚えているけれど、それが浮き上がったり消えたりするものだったとは知らなかったからびっくりする。
それから怪我をした流星くんと香住センセをとりあえず、ちゃんとした治療ができる場所に移動させようという話になり、ボクたちはその場を後にした。
倉庫を出ると真っ黒な大きい車が入口に横付けされていて、ダークブラウンの髪色の外国人さんがドアを開けてくれる。
ちょっと中に乗るのを躊躇ったけど健吾さんが大丈夫だからというので、ボクは煌騎に支えられながらなんとか車に乗り込む。
その車は大きいからてっきり和之さんや虎汰も乗ると思っていたら、中に乗り込んだのはボクたちと煌騎のお父さんにそのお友だちのアレクさん、それと怪我をした2人に健吾さんのみだった。
他のみんなは一足先にボクたちの倉庫へ帰るらしい。
怪我もしていないのにボクも煌騎も一緒に行っていいの? って聞いたら、健吾さんは会わせたい人がいるからとニコニコ笑っていた。
車は途中1軒のブティックに停車し、ボクの着る服を1式調達してから次に都内のあるホテルへと向かう。
そしてそこの裏口から怪我人の2人を抱えながらこっそりと中へ入った。
ホテル側の人にはあらかじめボクらがそこを通る事を伝えてあったのか、足元の覚束無い流星くんたちを運ぶのを手伝ってくれる。
その人たちに案内されたのはホテルの最上階だった。そこは『スイートルーム』と呼ばれていて特別な顧客が利用する部屋らしく、大きな両面扉を開けると煌びやかで豪華な広いリビングが目に飛び込んでくる。
ボクはまるで絵本の中にでも入ってしまったかのようなその雰囲気に圧倒され、萎縮して煌騎の腕にしがみつき彼の背中に隠れるようにして部屋の中を見回した。
その様子を健吾さんや煌騎のお父さん、それからそのお友だちのアレクさんが見守っていたが、煌騎のお父さんが徐ろに口を開く。
「チィ、煌騎、お前たちに会わせたい人物がいる。会ってくれるか?」
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