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第382話

あれほど会いたいと願っていたボクの可愛い妹……。 目に入れても痛くないほど大切にしてきた存在の彼女が今、目の前にいて必死に涙をこらえながらボクを見ている。 なんだかそれがとても信じられなかった。 あの日突然なんの前触れもなくボクたちは叔父さんの手によって引き裂かれ、もう2度と会えないんじゃないかと思われたけれど……。 彼女とこうして再会する日がくるなんて、まるで奇跡を体感しているようだった。 それなのにどちらも緊張して1歩も動けずにいる。するとアレクさんがアイちゃんの、煌騎がボクの背中をそっと押してくれた。 それでようやく金縛りが解けたように、ボクたちは互いに駆け寄ってしっかりと抱きしめ合った。 もう2度と離れ離れになんかならないように……。 「うああぁぁぁんっ、アイちゃ……アイちゃ……会いたかったよぉっ……ヒック……アイちゃ…無事でホント…に、良かったああぁぁぁっ」 『お兄ちゃんっ、私の大好きなお兄ちゃん! 居場所が分からなくてずっと探してたんだからぁッ!!……私だけっ、私だけ助かってごめん……本当にごめ…なさいッ!!』 会えなかった長い年月はボクたちの間に言葉の壁を築かせてしまったけど、そんなものは何の障害にもならなかった。 だって彼女はボクの血を分けた実の兄妹なのだ。 何を言っているのかは分からなかったけど、静かに首を振ってあげればアイちゃんは堪りかねたように声を上げて嗚咽した。 そして抱きしめ合ったままその場にゆっくりと腰を落とし、彼女は感極まったようにボクの頭を包み込むようにしてその胸へと抱き込む。 子供の頃にはなかった膨らみに確かな時間の流れを実感してショックを受けたけど、彼女の成長を同時に感じられて”あのちっちゃくて可愛かった妹が……“と感慨深いものが胸に込み上げた。 今の彼女の姿は記憶の中にある母親の面影ととてもよく似ている。それが嬉しくてボクは甘えるようにそのふくよかな胸に顔を埋めた。 それからボクたち兄妹は涙が枯れるまで抱き合い、再び会えた喜びを心ゆくまで噛み締めたのだった。 そんな光景を周りにいた煌騎や彼のお父さんや健吾さんたちは、穏やかな顔つきで暖かく見守ってくれていたのは言うまでもない……。

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