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第391話〜すべてを思い出したその後は…〜
「ーーーふぇっ!? ボク今日、ここに泊まるの?」
煌騎のお父さんがすべてを話し終えたところで健吾さんが席を立ち、流星くんを倉庫のほうに送ってくると言い出したのでボクらも一緒に帰るのだろうと思い釣られて立とうとすれば、何故かアイちゃんに腕を掴まれ止められた。
久々に再会したし離れ難いのかなと嬉しい反面少し困っていると、煌騎のお父さんが首を横に振りボクと煌騎はしばらく倉庫には帰せないと言う。
今日のところは叔父さんも引き下がってくれたけど恐らくは数日後に控えた、鷲塚組次期組長襲名披露が終わるまでになんとかボクを亡きものにしようとつけ狙ってくるだろうとのこと……。
その襲名披露も本来ならアイちゃんの来年の誕生日に行わられる筈だった。なのにどういう手を使ったのか時期が早められた為、急遽アレクさんたちが来日したのだそうだ。
それに向けてどうやら彼らは動くつもりらしい。長きにわたり苦境に置かれた父さんの子であるボクたち兄妹を解放するべく、すべての決着をそこで着けるのだという。
だから事が終わるまではボクと煌騎の身柄はアレクさん、つまりはフリードマン家の預かりとなる。そう聞かされボクは呆然とした。
あまりの急展開に頭がついていかない。
ボクはてっきりこのような状況が永遠に続くのだと勝手に思い込んでいた。
両親を殺された上に妹も奪われ、存在自体を記憶諸共消されたあの日から比べれば、今は大きく改善されたように思う。
記憶を取り戻し煌騎と想いを通じ合わせ、大事な妹ともこうして再会することができた。
これ以上の幸せを望めばバチが当たるのではないかと思えるほど、今ボクはとても幸福に包まれている。
それだけではダメなのだろうか……?
鷲塚組次期組長の座など欲しくはないし、ロシアで既に結婚を控えているアイちゃんもそんなものを貰えば困るに違いない。
確かに今までの仕打ちには憤りを感じるものの、そこまで執着するのならボクは彼らに譲ってあげてもいいとすら思っていた。
でもそれは危険な選択だとアレクさんが言う。
叔父さんたちはこれまで私利私欲の為に何度も権力に溺れ、その使い道を間違ってきた。
そんな者が完全に権力を手に入れてしまえば、ボク以上に不幸へ貶められる者が今後もたくさん出てくるかもしれない。
そうならない為にもあの親娘からは権力を奪わなければならないと、ボクは彼に説得された。
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