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第394話
ボクってホント悪い子だ……。
また彼を困らせてる。いけない事だとわかっていてするのは良くない。
しゅんと項垂れるとボクは巻きつけた腕を首元から離そうとした。ーーが、煌騎はボクが離れるよりも早く、そのまま抱っこした状態で椅子に腰を下ろして座ってしまう。
あれれ?って首を傾げても彼は甘い微笑みを浮かべるだけで、片手で氷の入ったバケツから大きいボトルを取り出すと慣れた手つきで器用にコルクを抜いた。
するとポンッという音と共にぶどうの甘い匂いがボクの鼻腔を擽る。
「それ、ぶどうのジュース?」
「ん、まぁ……似たようなものだ。チィも飲むか?」
「うんっ、飲みたい! ボクぶどうのジュースはちょこのジュースの次に大好き♪」
あの甘いぶどうの芳醇な味を思い出してコクコクと頷けば、彼は2つの変わったグラスにそれを注ぎ、少なめに入れたほうをボクに手渡してくれる。
両手でそれを受け取ってグラスの中を上から覗き込むけど、やはり中身の量は変わらない。ボクは不満も露わに抗議の眼差しで彼を見るが、煌騎は肩を竦めて苦笑いされるだけだった。
いつもコップに入れて貰ったらその場で、ボクは我慢できずに全部飲み干しちゃうからだ。
それじゃジュースでお腹が膨れてご飯が食べられなくなるでしょ?って和之さんには散々怒られてる。
でもちょこのジュースのように制限されないだけまだマシなので、今のところはこの量で我慢している。
おかわりをお強請りしたら直ぐに次を注いで貰えるしね!
「チィ、これは酒だから一気に飲むなよ?」
「う? 『酒』ってなぁに? ジュースと違うの?」
「飲む人の体質にも寄るが酒は楽しい気持ちになったり、フワフワ身体が浮いたような感覚になる。本当は大人しか飲んじゃいけない飲み物なんだが、な」
煌騎はニヤリと意地悪な笑みを浮かべると、ボクのグラスに自分のグラスをカチンッと軽く当てて1口だけ口に含んで飲む。
『ワイ ン』は1度栓を開けると鮮度が落ちるらしく、早めに飲まないと美味しくないのだそうだ。
だからボクたちが美味しく飲もうと彼は嬉しそうに言った。
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