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第398話

なのに煌騎は堪り兼ねたようにプッと吹き出したかと思うと、クスクス笑い出してしまう。 ボクは何故笑われているのか分からず、抗議するようにぷうっと頬を膨らませば彼は更に笑った。 「ククッ、お前がそうしたいならそうしよう。だがちゃんとバスローブはお前の分もあるぞ?」 「ふぇっ!? そだったの!?」 驚いて目を見開いたけど着るものがあるのならそれに越したことはない。ホッと胸を撫で下ろすと、ボクもそれを着させて貰うことを伝えた。 すると笑いを治めた煌騎が分かったと言って、また歩き始める。 先ほど彼が出ていった扉を潜り、フカフカの絨毯が敷き詰められた廊下を少し行ったところに幾つか扉があって、その中のひとつを開けると中へ入った。 「―――わあぁっ!? 」 中に入った瞬間、ボクは感嘆の息を洩らす。 そこは浴室に続く脱衣場の筈なのにまるでひとつのお部屋のような創りになっていて、キラキラした装飾品や絵画なども飾っていて驚いてしまう。 天井を見れば小さなシャンデリアがオレンジ色に発光してて、ここが何処だか危うく忘れそうになった。 「フフッ、中もスゴいぞ。浴槽はジャグジー付きだったから泡風呂にしといた」 「泡風呂……?」 「浴槽の中に泡が立つ入浴剤を入れたんだ。湯船に浸かったまま身体が洗える」 「う? そんな事してもいいの?」 お風呂の中では遊んじゃダメって和之さんに教わってたからボクはびっくりする。 だけど煌騎は口角を緩く上げフフンと鼻で笑うだけで何も言わず、ボクを床に降ろすと着ているものを次々に脱がせていった。 そしてあっという間にすっぽんぽんにし、同じように裸になった彼にまた抱っこされ浴室へと移動する。 「―――ふわぁっ、泡ブクブクッ!!」 中に入るとボクは更に驚いた。 微かな機械音と共に湯気の中から見えたのは、蛇口から流れ出るお湯によって生み出されている泡・泡・泡で……。 しかも浴槽はアイちゃんが言っていた通り、大人10人は入れるんじゃないかと思えるくらいとても広くて、ボクは興奮のあまり煌騎の首元に抱きついた。 「―――スゴいねぇ、煌騎ッ!!」 「気に入ったか?」 「うんっ! これなら洗いっこできるねぇ♪」 いつも洗って貰ってばかりだったから、ボクも彼の身体を洗ってあげたいと前から思っていたのだ。 それがここでならできそうでワクワクした。

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