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第404話

そんな事をぼんやりと考えていたら不意に彼の親指の腹が、ボクの両胸の尖りを執拗にクリクリと押し潰す。 堪らず甲高い声を上げて背中を反らせば、突き出した顎をペロリと舐められた。 「煽ったのはお前だからな。せっかく今日は散々な目に遭って疲れただろうから、気持ちいい事だけして終わらせてやろうと思ったのに……」 「そんなの寂しいよっ、ひとりだけ気持ちぃのなんかやだっ! ボク煌騎とひとつになりたい! ……けど、それってワガママ?」 「チィ………クソッ、人の努力を無駄にしやがって! 俺を煽ったこと、あとで後悔しても知らないからなッ!!」 ボクは本心を言っただけなのに、何故か煌騎がもの凄く不機嫌なお顔になる。 彼を怒らせてしまったかと心配したけどそれは杞憂だったようで、ボクの両肩を掴み一旦身体を引き離すと煌騎は喉元に噛みつき熱い舌と唇をその肌に這わせた。 強めに噛んだり吸ったりされて、元からあった幾つもの紅い痕がどんどんと上書きされていく。そしてそれを満足そうに見つめ、彼はチロチロと舌先で舐め上げた。 「最初に言っとく。なるべく優しくはするが……タガが外れたら、すまない」 「ううん、酷い扱いにはボク慣れてる。だから煌騎のしたい事をして? ボクはその方が嬉しいから……」 「―――だからッ、煽るなと言ってる!」 煌騎はボクのお口に噛みつき、それ以上は喋らせないようにする。 それから右手の指で胸の小さな粒を挟みコリコリと刺激しながら、もう片方の手でお尻を鷲掴みいやらしく揉んだ。 いつもの彼らしからぬ乱暴な触れ方に初めは驚くが、それだけ余裕がないのだと思うとボクは嬉しくなる。 だから少し痛みの走るそれらも甘美な愛撫として受け取り、意識して苦悶の顔は一切見せないようにした。 優しい煌騎の事だからほんのちょっとでもボクが眉を顰めれば、きっと止めてしまうと思ったから……。 でもそんな心配は無用だった。 どんな愛撫でも彼が与えてくれるものなら、すべてが快感となってボクに押し寄せてくる。 「んっ、ああぁあァん……あッ」 強すぎる刺激に耐えきれず喘ぎ声が漏れ、深く絡み合っていた互いの舌が銀色の糸を引いて離れた。

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