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第5話

「……お前」 「は、い」 「名はなんだったかな」  名を呼んでやろうと思い、聞いてもいなかったことを思い出す。  すると彼の眼がゆっくり曇っていくのが分かった。 「いち、みや。一宮です」 「そうか。一宮、痛がるな。お前は喘いでおけ」  串刺しにするように中へ侵入すると、顔がのけぞった。  逃げようとする肩をおしやり、顔を枕に押し付ける。  バタバタと足を動かす一宮を、逃がさないと腰を打ち付けた。 「逃げていいのか。お前は私の伴侶だろ?」  動いていた足が止まり、代わりに枕を握っていた手に力がこもる。 「旦那様の好きなように注いでください」  震える声に泣いているのが分かったが、苛立ちと高ぶった感情から見ないふりをした。  どんなに酷く扱っても、一宮は逃げ出すこともできないと知っていたからだ。  *  Ωとのセックスは相性が良かった。一宮が気絶するまで注いだあと、体を起こしテーブルの上の飲み物を飲んだ。  消えそうな灯りの下、足を少し痙攣させながら眠っている一宮を見下ろす。  覆いかぶさった形で開いた足。その足の間には、あふれた精液でぬれてドロドロになっていた。腹を見れば一宮も何回かイったのだろう。濡れている。  今日で子が宿っていたのかも分からない。発情期が来たら再び抱けばいい。子が宿るまでだ。それまで体をつなげる。終われば子育てに専念すればいい。  そこまで開放してやらない。  それほどこのあどけない少年の体は、花の蜜のように甘い香りを放って私を誘っていた。   *

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