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第6話
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「旦那さま?」
「起きたのか」
スーツに着替えた私は、布団を首までかけて見下ろす。
一宮は恥ずかしそうに布団の中へ隠れてしまった。
「私は仕事へ行く。君は学校は?」
「……今日はちょっと、無理そうです」
「そうか。私から連絡しておこう。テーブルの上に置いてあるものは君のものだ。好きに使うといい」
「えっ」
「吉田家は伴侶を大切にしなくてはいけない。ただそれだけだ」
テーブルの上に置いてあるプレゼントの数々は、まるで昨日無理をさせたものへの詫びのよう。
万年筆、着物、甘い菓子、本、靴、スーツ。何がいいのかわからなかったので用意できる範囲でものを並べておいた。
これからおいおい好きなものをテーブルの上に置いていけばいい。
「ありがとうございます。すいません。私に」
「いい。体を休めておきなさい」
「今日はお戻りは早いですか?」
体を起こして聞いてくる一宮を布団に戻しつつ、首を振る。
「君のことについて色々と聞かれるだろう。遅くなる」
「そ、うですか」
「食事はいつでも呼びつけなさい。ここは君の家でもある。当主の番のお前が遠慮するとこはない。自由にすること」
「ありがとうございま、す」
まだ呆然としていたようだったけれど、私も仕事へ行かないといけないのでその場を後にした。
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