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第7話

 * 「あっん、……んんっ」 「――きついな」 「だ、な、さまっ」  その夜から、私は狂ったように花を貪り食い散らかした。セックスに疲れて気絶するように眠る姿を見たら、支配欲が満たされた。  朝、かすれた声で私に『いってらっしゃい』と声をかけるその姿に、今まで知らなかった感情が生まれてくる。  まるで香る花。包まれたら私は狂うようにその花を食べ散らす。  麻薬のように一宮の体にはまっていく。 「あの、旦那様」  いつも通り、服を脱ぎ一宮をそばに引き寄せた時だ。 「私も、朝、旦那様をお見送りしたい、です」 「だが、朝は起きれないだろう」 「……あの、発情期だけでも」  彼は下を向き、ごにょごにょと歯切れの悪い言葉を口から零す。 「なんだ?」 「減らしていただければ、お見送りに行けるのですが」  上目使いで恐る恐る告げる。その言葉に固まった。  花を求めるように彼を貪欲に求めているのは私だけ。  彼は毎日の逢瀬にハマっていないのだと知る。のめり込んで狂っているのは私だけ。 「旦那様」 「……体を繋げないのならばここに来る理由はない」  吐き捨てるように言い、立ち上がる。  ひどく滑稽で惨めだった。子供の彼の言葉に振り回されるとは思わなんだ。 「いや、行かないでください」  背中にしがみつく彼は、甘い香りを放った。 「ごめんなさい。私のわがままです。だから、行かないで」  じわりと熱が体中を駆け巡る。支配している。簡単に支配している。 「旦那様……大好きです」  小鳥のさえずりのような可愛い声に満たされ、その日も花を食い散らかす。  シーツの上に散らばる花の、美しいことは言うまでもない。  *

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