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第7話
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「あっん、……んんっ」
「――きついな」
「だ、な、さまっ」
その夜から、私は狂ったように花を貪り食い散らかした。セックスに疲れて気絶するように眠る姿を見たら、支配欲が満たされた。
朝、かすれた声で私に『いってらっしゃい』と声をかけるその姿に、今まで知らなかった感情が生まれてくる。
まるで香る花。包まれたら私は狂うようにその花を食べ散らす。
麻薬のように一宮の体にはまっていく。
「あの、旦那様」
いつも通り、服を脱ぎ一宮をそばに引き寄せた時だ。
「私も、朝、旦那様をお見送りしたい、です」
「だが、朝は起きれないだろう」
「……あの、発情期だけでも」
彼は下を向き、ごにょごにょと歯切れの悪い言葉を口から零す。
「なんだ?」
「減らしていただければ、お見送りに行けるのですが」
上目使いで恐る恐る告げる。その言葉に固まった。
花を求めるように彼を貪欲に求めているのは私だけ。
彼は毎日の逢瀬にハマっていないのだと知る。のめり込んで狂っているのは私だけ。
「旦那様」
「……体を繋げないのならばここに来る理由はない」
吐き捨てるように言い、立ち上がる。
ひどく滑稽で惨めだった。子供の彼の言葉に振り回されるとは思わなんだ。
「いや、行かないでください」
背中にしがみつく彼は、甘い香りを放った。
「ごめんなさい。私のわがままです。だから、行かないで」
じわりと熱が体中を駆け巡る。支配している。簡単に支配している。
「旦那様……大好きです」
小鳥のさえずりのような可愛い声に満たされ、その日も花を食い散らかす。
シーツの上に散らばる花の、美しいことは言うまでもない。
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