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第6話

「お前が生まれる前から……俺は男しか好きになれなかったんだ。そのせいで家族とも疎遠になったけど、姉さん……お前のお母さんだけは、味方でいてくれた。だから、翼のことも俺が引き取りたいって思ったんだよ。……でもさ、俺だって完璧に人間出来上がってるわけじゃないから……たまには捌け口探して、それなりにスッキリしてたんだよね」 「…………」 俯きながら、何も言葉を返してこない翼を心配しつつも、尋夢は話を続ける。 「相手を家に連れ込んでることは……正直今でもバレてないと思ってた。……育ててくれた親が普通じゃなかったら、変に当てられるよな。だから、翼がこっちに興味持っちゃったのは、俺のせい。ごめん……」 「……がう……」 「でも安心しな。まだ翼は若いし、俺と少し距離を取れば、すぐに戻れーー」 「違うっ!!」 勢いよく顔を上げ、尋夢の言葉を否定する翼の目からは、蛇口が壊れたかのように大粒の涙が溢れ出していた。 「……分かったから。尋くんが認めたくないことは。……でも、俺の……俺の、尋くんに対する気持ちだけは、お願いだから否定しないでよ」 今まで自分がどんなに彼を傷つけていたのか、目の前で痛々しく笑いかける翼の表情を見て、尋夢はやっと気づいた。

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