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第7話
「尋くんが先に言ったんだよ……『ずっと一緒にいる。もう、1人にさせない』って。幼い俺が、この言葉にどんだけ救われたか分かってる?俺も最初は、尋くんのことは親として見てたよ。でも……段々と、特別な感情を持ち始めた。でもそれは寂しさとか、愛情のほしさとかじゃなくて、1人の人間としてただ純粋に惹かれたんだよ」
「……ごめん」
「あやま……らないでよ」
翼の泣き顔が彼を引き取った時の表情と同じに見えて、尋夢は自然と彼を抱きしめていた。
(翼はこんなにも全身で想いをぶつけてくれているのに、俺はなんで逃げてんだよ……)
尋夢は小さく息を吐くと、翼との距離を少しとり、真剣な表情で語りかける。
「翼は俺のこと、親として……好きか?」
「当たり前じゃん。今更、尋くん何聞いてんの」
「俺にとっては重要なことなんだよ。……じゃあさ、これから先、俺がどんなことしても、どんだけダサい姿見せても……それでも翼は、俺を親として好きでいてくれるか?」
「例え尋くんが無職になって、一文無しになっても、嫌いになるわけないじゃん。俺のこと……馬鹿にしてんの」
尋夢から何故こんな質問がされるのか、翼は理解が出来ずに頬を膨らませて、やや不機嫌になっていた。
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