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第8話

「大人になるとさ、ちょっとしたことをすぐに疑ったり、不安に思って行動出来なくなるんだよ。……でも、翼の言葉聞いて、俺も吹っ切れた!今まで、うやむやにして逃げててごめん。翼……俺、お前のことがずっと前から好きだよ」 「っーー!!」 「都合のいいことばかり言ったり、お前のことめちゃくちゃに振り回してるのは分かってる。……でも、翼の想いを聞いたら、俺ももう我慢できないよ……。多分これからは、親として見すぼらしい姿も見せると思う。もしかしたら、愛想つかされるかもしれない。……それでも、翼が今側にいてくれるって言うなら、親子っていう関係以外にもなりたいなんて思ってる」 目を見開き、驚きから言葉を失っている翼に向かって、尋夢は両手を大きく広げる。 「俺、もう……翼以外は受け入れたくないな」 「尋くんっ!!」 狭い浴室だと言うのに、喜びが抑えきれない翼は勢いよく尋夢に飛びつく。 その勢いで、壁に軽く頭を打ちながら、2人は浴室の床へ倒れこむような体制で崩れる。

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