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第9話

「今更嘘って……言わない?」 「あぁ。言わない」 「……もう一回、言って」 「嘘じゃない。……翼、お前が好き」 「俺も……尋くんがずっと好きだよ」 (あぁ、俺が見たかったのは……この顔だ) 幸せと照れが混じった、まだ幼さが少し残ったあどけない表情で微笑む翼を見て、尋夢もやっと幸せを噛みしめることが出来た。 「遠回り……しちゃったな」 「遠回りもしたし、想いも伝わらなくて辛かったけど……この家でずっと一緒にいられたから、チャラだよ」 額を寄せ合い、互いの息がかかる程の距離で微笑み合う2人。 「尋くん……この先のこと、シても……いい?」 いつも過剰な程のスキンシップをしていたのに、今更照れながら聞いてくる翼が可愛くて、尋夢は心の中で少しだけ意地悪な感情が芽生えた。 「……いいよ。激しくシて。……すれ違ってた分も、翼で俺の中を満たして」 翼の耳元で小さく囁いてから、彼の耳を舐めたり甘噛をして攻める。 後にこのような行動をしたことを、後悔するとも知らずにーー。

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