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堕ちていきそうな、2ヶ月
──……どうせ、冗談なのだと思っていた。
子供 が年上を面白可笑 しくからかっているだけなのだ、と。
「たーいーよーうさーん……ちゅーしたいー……ちゅー、してくださいよ〜……」
「……」
「無視しないでー……ちゅーっ」
「しねぇよ」
「否定しないでくださ〜い」
「……、」
「もー……」
駄々をこねだした少年に、これでも飲んで勉強しろよと、淹れたてのコーヒーを手渡すと、目の前の子供 は唇を尖らせて文句を言いつつも受け取った。
「俺、本気なのに……なんで信じてくれないんだよ……」
「……、大体な。年齢の"差"を例えて考えてもみろ、年齢の"差"を。」
「……、」
「お前とは17も離れてんだぞ?今年産まれてた赤ん坊と同じ差だ。……わかるな?」
念を押す様に話をする太陽の言葉に、彩斗は心の中で分かってると舌打ちをしながらも、真っ直ぐに想い人の眼をしっかりと見つめて逸らさなかった。
──……逸らせなかった。
逸らしてしまったならば、今までの努力も葛藤も涙すらも、凡てが無駄になってしまうと、彩斗は確信していた。
だから、逸らさなかったのだ。
己の"今まで"を棒に振って否定してしまうから。
「えー?いいんじゃないすか?僕がその子を本気で好きになったら、付き合っちゃうかも。」
「お前、ふざけてんじゃねぇぞ?」
「……ふざけてませんよ。」
「……ッ!?」
目の前の初恋の相手が自身の姉に奪われて、この気持ちを諦め、嘘を吐いては別の"女"で埋めようとしても、辛いだけで。
だったら、自身の姉から"初恋の人"を奪い返してやろうと決心したは良いものの、なかなか行動を起こせず。
グダグダと悩んでいたら、姉は僕が奪う前に太陽なる人を手放して、ぐしゃぐしゃに泣かせて。
「……、たしかにそうですね。17も離れている子供 を相手にする大人なんて、そうそういないと思います。」
「……彩斗?」
事実を知った時には手遅れで。
僕はもう、二度とあの太陽なる人を手にいれる事は不可能だと思い知って自暴自棄になって、女癖が更に悪化して。
両親や姉に知れた時はこびっとく怒られ、避妊はしっかりしなさいと、釘さえ打たれた。
「でも、僕。……本気ですよ?」
「……は、ッんん……!?」
けど、チャンスがまたやって来てくれたのだ。
逃すわけにはいかないのだ。
なのに、なのに……
「本気なのに……っ!なんで……っ!なんで俺を……!」
「……っ!」
なんで、俺に、落ちてきてこないんだよ……。
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