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強行手段だと、3ヶ月
今までの努力も葛藤も涙すらも、凡てが無駄になってしまわないようにと慎重に言葉を選んで行動してきたつもりだった。
──……つもり、だったのに。
『本気なのに……っ』
七時半──清水宅、脱衣所にて。
「……っ、なんで無理矢理キスしてあんな事を言ってしまった俺……っ!!」
あの一件以来、彩斗くんは絶賛後悔中だった。
無理矢理にキスをしてしまった少年は案の定、想い人から華麗な右ストレートを食らっただけでなく、この一ヶ月ときかず、二ヵ月に差し掛かる勢いもの間、口を聞いてもらえてないのである。さらに彩斗少年の良心をぐりぐりと抉りにかかってきているのは今まで通り、なんの不自由もなく生活が送れている……という事だった。
朝食と夕食、夜食はきちんと用意されているし、自身の洗濯も気がつけば、太陽が自分用に用意してくれたタンス代わりのBOXに収納されているのだ。
だだ、いつも用意してくれていたお弁当を作ってもらえなくなってしまったことが、彩斗にとって致命傷とも言える出来事だったのだが。
「おかしい……おかしいぞ……??なんであの時ちゃんと考えて行動しなかった?なんで本能に任せてあんな事をしてしま……っ!!せっかく猫かぶってまで本性を隠しきっていた俺が……っ!一番嫌いなタイプの人間がする事を、なんでこの俺が……っ!」
「ほー……?あれで本性、隠しきってたつもりだったのか」
「……っ!!?!??!?」
「ガキんちょが。大人をナメてるからだぞ。」
「……な、」
油断したなと冷や汗をかきつつ振り向けば、柱に寄りかかりながら腕を組み、更にはにやけて立っている太陽がいた。
変に脈打つ鼓動に反して、にやけ済ましている顔も可愛いかよとカメラを持っていない事を軽く後悔しながら、心のカメラメモリーにしっかりと焼き付けた。
そして彩斗は、いつも7時には家を出てしまう太陽に遅刻しますよ?と、 首から掛けていたフェイスタオルで濡れた髪を拭きながら言う。
「んー、まぁ……なんだ、その……」
「太陽さん?」
「あー……っとだな……」
「なんですか一体?」
「……、」
口を尖らせながら目を泳がせている太陽の姿に、内心で可愛いを連発しながらも、ここ二ヶ月近くで嫌という程に学んだ彩斗は、目の前の可愛い人から発せられるであろう、次の言葉を必死に待っていた。
しかし。
「お、お前……来月の第二日曜、暇か。」
「……第二日曜?僕、休日は基本的に自室で勉強してますけど……」
「そ、そうか……偉いな。うん、いい子だ。」
「??太陽さん?結局の所は何を言いたいんです??」
褒められたァアッ!と内心で発狂しながらも、平然を粧 った少年に三十路男が爆弾を落とすまであと五秒。
「一緒に買い物に行かないか……?」
──と。
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