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過去と暗闇
少年は朦朧としている意識の中で、迷い子のように揺れた瞳を見つけた。
迷い子のように揺れた瞳が、誰のものなのか──しかし、そのかすかな光を帯びた瞳は、懐かしくも暖かいもので。
「──……太陽、みたいな瞳だ……」
ずっと、まだ、ずっと見つめていたい。
そう思っても、後頭部への鈍い感覚を感じた刹那、光が遮断されてしまったことで喪失感と共に全身が凍りついてしまったかの様な感覚に襲われた。
"寒い……"
ガクガクと震えた身体と、この肌を刺す痛み──……憶えがあった。
小さい頃……小学生の時、池に浮かんだ自身の荷物、そして。
「大丈夫か?あやとくん?」
「せん、せえ……?」
「後の荷物は先生が拾ってあげるから、君は風邪を引く前に保健室に行こうか?それと、君たちも。一緒に来なさいね。先生とお話をしよう。」
当時、彩斗の通っていた小学校で上級生の一ヶ月臨時職員として通っていた太陽なる人──初恋の人。
僕の、僕だけのヒーロー。
"さむい……さむいよ、たいようせんせい"
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