10 / 14
大人の本音
考えていた。
「お〜、いらっしゃいませ?騎士 様?いや、その様子じゃぁ、お姫様かな?」
「……、何の話だ。三十路のジジィ、捕まえて、姫はねぇだろ、気色悪りぃな」
「無意識とか、案外可愛いね、"おじさん"」
年齢差とか世間の目とか。
「──……太陽、みたいな瞳だ……」
「……っ!」
「はぁ?何言ってんだコイツ」
気にせずに自分の気持ちを伝えていれば、こんなに後悔しなかったのかと。
逃げずに彩斗と自分自身の気持ちに向き合っていれば──と。
「あや、と……!」
目の前で消えていく、その彩斗 の存在に。
少なくとも、こんなに後悔しなかったのだろうか。
ともだちにシェアしよう!