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本番まではと、5ヶ月

受験日まで残り1ヶ月と少し……──大切な時期に、太陽の携帯端末が受信した一本の電話。 「もしもし?彩斗?お前、遅くなるんだったらもう少し早く連絡しろよ。」 『太陽サーン、ゴメンね~?』 「……誰だお前。」 『うっわ!声音が変わったよ!おっさん愛しの恋人からの甘い電話だと思ったのカナ~?』 「……、誰だお前って聞いてんだ。それと何故、彩斗の携帯を持っているのかもきちんと説明しろ。」 そう言い放てば、電話越しに数人の笑い声を耳が聞き取った。 しかし、彩斗の端末を持っているであろう少年が一言、起こしてやれよ、そいつと言い放った刹那、鈍い音とともに呻き声が響いた。 それは── 「彩斗……!?」 『あはは!声色が変わったァ!良いね、太陽サーン。』 電話越しにでも分かる鈍い音とともに、低く呻ている彩斗の声──その音に太陽は、身体が凍て行くような感覚に襲われていた。 それと同時に脳内が熱く、真っ赤になっていく……その乖離に、自我を保てと理性が働いているのか、落ち着けと暗示をしていた。 「……、お前、自分が何をしているのか、わかってンの?」 『ハァ?まーた説教?サンツーでも思ったけどセンコーって説教しか出来ねぇの?うざァ』 その言葉に先日、彩斗とショッピングモールに行った際に注意をした、ガラの悪い連中かと得心がいった太陽は唇を噛み締める。 そして、相手を刺激しないように注意を払いながら、何が目的なのかと尋ねた。 『目的?そんなの単純だよ。……アンタを貶めたいんだ。偽善者ぶってるセンコーの、アンタをね。』 「……、で?おれはどこに行けばいい?」 『へぇ?偽善者でも自分の"モノ"には、多少なりとも人情はあるんだ?へぇ?』 「……、一応おれも人間なんでな。」 電話越しに今も響く鈍い音と彩斗の呻き声。 その音に、拳を握り締めた。

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