8 / 17
Ⅱ 見せしめなら俺がなってやろう②
ゆらゆらと……
光が廻る輪舞曲が頭上で踊る。
舞う木漏れ日はイチョウの葉のように。絶え間なく降り注ぐ。キラキラ輝きながら、影の中へ……
廻る光が落葉する。
溜め息は潮騒に掻き消えた。
ギラギラ奏でる波が燃えている。太陽を浴びて空に爪を立てていた。
丘の上
海が見える。
失望の曲にしては、優しすぎないか……
ここは第2棟敷地外だ。
儚くも希望は終えた。
摘まみ出されてしまった俺
作戦は完璧だった。足りなかったのは演技力。
書記就任の嘘を見破られた俺は、生徒会室のある第2棟に近づく事すら許されない。警備は更に厳重になってしまった。
(どうしよう)
誘拐されたチビッ子を探しに行くか?
(でも……)
放っとけない。
あいつの事
本音のない笑顔の仮面を被ってるから。
本気で向き合わなきゃいけない。
(俺が笑顔の仮面、引っ剥がしてやる)
じゃないと、ほんとのパートナーになれないよ。
嫌な奴だけど、俺は腹をくくってるんだ。
……でも。
八方手詰まり
唯一居そうな場所である生徒会室に近づけない。
電話もラインも知らないよ。
どうすれば……
「見つけたよ」
背後から心臓を掴まれた。
「こんな所にいたんだね」
それは俺の台詞だ。
(いた)
探していたあいつが、こんなに近くに……
飛鳥 孝允
ともだちにシェアしよう!