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僕のせい
そして今に至る。
また大事な人を傷つけた…
涙が流れ櫻井の包帯に染みを作っていく。
「ごめんね…櫻井…ホントにごめんなさい…」
涙で掠れる声を必死に絞り出し精一杯の謝罪をした。
話によると買い出しの帰り途中に僕らに向かってきた車に轢かれそうになったところを櫻井が僕と朔也先生を突き飛ばしたそうだ。しかし櫻井は逃げ切れずに…
そして僕は喘息で倒れ一緒に病院に搬送された。
朔也先生の応急処置がよく櫻井は命を落とすところを右足切断で済んだらしい。
肝心の轢いた本人は飲酒運転をしていたという。
飲酒運転ということは僕のせいじゃ無かったんだ…そこで安心している自分にも腹が立つ。
冬休み中だったため僕はその後ずっと櫻井のそばにいた。
日に日に櫻井の顔色は良くなっていくものの移動するときは無くなってしまった右足を補うべく車椅子での移動となっていた。
冬休みが残り数日となったある日の事。
「彼方様…大事なお話があります」
そう言って櫻井は一瞬目を閉じた。
「私にはもう彼方様をお守りすることができません。なので広夢様が新しい彼方様の執事を手配させてもらいました。」
広夢というのは僕の父。
仕事人間でこんな時すら見舞いにこない父は僕の大嫌いな人である。
「そんな事言わないでよ…小さい頃から一緒だったじゃん!」
小さい頃から周りが僕と距離を置いてる中、櫻井だけがずっと一緒にいてくれたのだ。
「しかしながらもう新しい執事を手配しております。広夢様がお選びになったのですから安心してください。」
「嫌だ…いやだいやだいやだ!!」
「彼方様!しっかりしてください。これが私の誕生日のお願いです。どうか新しい者とも仲良くしてやってください…」
僕は納得いかないが櫻井の誕生日のお願いというのだから承諾した。
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