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格好

「じゃあ…適当に座ってくれる?」 「失礼します」 そういえば今日から学校だっけ… 「着替えてくるから少し待っててくれるかな…」 「私がお手伝いした方が良いのでは?」 「大丈夫だから座ってて…」 全ては潔癖症のせい…服を触られたり体を触られたりするのが無理なのだ。特に素手で… クローゼットの中から制服を取り出し素早く着替える。 黒縁のメガネを掛け、第一ボタンをしっかりと締める。ネクタイもきつく締めた。 眼鏡のお陰で誰も僕が桜城財閥のものだとはわからないのだ。 一言でいえば地味。 そして自分で言ってはなんだけど顔はいい方だと思う。母と父は二人揃って綺麗な顔立ちをしていたからだろう。だから人避けにと小さい頃から母に言われてメガネを掛けるようになった。 「おまたせ…」 そしてまた春咲は驚いた顔をした… 「随分と印象が変わるのですね…あとつかぬことをお聞きしますが緑ヶ丘学園に通ってらっしゃるのですか?」 「そうだけど…」 「失礼しました。時間が無く資料をまだざっとしか目に通していないものですから…」 「そうなんだ…じゃあご飯や車の事は知ってる?」 「ええ、少しは把握しております。」 「そう…ありがとう…」 「いえ、それでは朝食の準備が整いましたのでお運び致しますね。」 「うん…」

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