「彼方…」 「触らないで…僕は汚いんだ…」 こんなに汚れた僕を歩叶君に触らせたくない。 もう僕に関わって欲しくない。僕に関わったらまた事件に巻き込まれる。 「彼方は汚くない！」 「うるさい！歩叶君に僕の何が分か…ん…」 僕の声は途中で止まった。というよりかは"止められた"。歩叶君の口によって。 僕が離そうと力を出してみたものの全く通用しない。舌を絡められ歯列をなぞられる。どんどん力が抜けていき意識が口に集中していく。 「はぁっ…んぁ…」 声を我慢しても自然と出てくる。キスには涙の味が混ざってしょっぱい。正直、気持ち悪いという気持ちは全く無くて"気持ち良い"。前にしたキスとは全く違くて優しく頭を撫でなられながらされるキスでとても気持ち良い。 「ホントに彼方ってエロい声出すよな…」 「んぁ…」 口が離れてしまいなんだか物足りなさそうな声を出してしまって恥ずかしい… すると歩叶君は口に白い錠剤を含んで再び僕の口にキスをする。歩叶君の口から唾液と共に溶けかけた錠剤が流れてきて必死に飲み込む。 「飲み込めた？」 「はぁ…これ…な、に？」 僕の目の前に出されたのは精神安定剤と書いてある袋。 「媚薬でも良かったんだけどね…」 「び、びや…」 恥ずかしい… その後恥ずかしくて顔を赤くしながら体を拭き部屋に戻った。