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事実

部屋に戻ると一際目立つ傷に絆創膏を貼ってもらい、髪も拭いてもらった。数分後には朔也先生が来て、電話で何があったのか話した。 「で、飲酒運転じゃない事でなんでこんなになったんだ?」 「それは…」 過去の事も話さなければならない…朔也先生と目を合わせると柔らかい笑顔で頷いていた。それに僕も頷き返し、過去の事をすべて話した。母さんと弟が轢かれたこと、その後失神するまで犯されたこと、クラスメイトから「汚い」と言われ続け、潔癖症になってしまった事…全てを包み隠さず話した。話している間、歩叶君は僕と目を合わせて頷いて途中で目を伏せたりするものの最後まで聞いてくれた。 「つまり、櫻井さんが、その…轢かれたのは意図的なものであるということなのか?」 歩叶君が申し訳なさそうに聞いてくる。 「多分…昔の事件があってからもう、7年くらい経っていると思うからまた僕の事を狙っているんだ…」 恐怖でまた体が震えたがすぐに歩叶君が僕の手を握ってくれて安心した。出会ってまだ1ヶ月も経ってないのに触られても嫌じゃなくなっている。朔也先生でも理人でも美晴先生でも櫻井でも駄目だったのに歩叶君ただ一人が…

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