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触れさせて(歩叶Side)

「突撃!」 俺の合図で呼び出した警察が一気に入ってきてその場にいた彼方以外の奴らを全員押さえ込む。周りから次々と聞こえる「確保!」の声。その中で奥に涙を流して目を見開いている人物を見つける。 「彼方!ごめんな…ごめんな」 すぐに縄を解いて彼方の震えた体を抱き締める。自分の着ていたコートをかけてあげる。手や腰に力が入っていなく俺に寄り掛かってくる。 「……るな…」 「え?何?」 「ぼ、くに…触るな」 「なん、で?ごめんて…ほんとにごめん…」 言われるとは覚悟していた。でもいざ言われてみると心臓が締め付けられて痛くなる。 「歩叶!どういう事だ!」 声の主は今まで俺を散々痛めつけていたやつだった。警察に抑え込まれながらこっちを睨んでくる。 「なんだよ!親父に俺の名前呼ばれるなんて吐き気がするよ…いや、親父なんて呼ぶ価値ねーか、か・な・めさん?」 「お、やじ…?」 「彼方…ごめん…」 そう言って手を包む…が、ほんの少しの力でその手は振りほどかれた。 「い、いから…触んないで…もう僕に関わらないで…お願いだから…」 彼方の目からは大粒の涙が溢れた。

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