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過去(Side広夢)

これは僕が高校生の頃の話しだ。 僕には有名な財閥の御令嬢の由美さんと結婚をする約束をしていた。もちろん親が勝手に決めただけで僕達が恋をしていたとかでは無い。許嫁というやつだ。 2年生になった頃。由美が僕に「好きな人ができたの」と言ってきた。由美の好きなやつというのは春咲 要という男だった。要君は明らかに由美に恋心を抱いているというのが一目見ただけですぐに分かった。しかし裕福とは言えるような家庭環境では無く親たちから反対されてしまった。 両想いということもあり、卒業までの付き合いだったら親も何も言わない。そう思って高校卒業までなら良いという決断に至った。 それからの二人はとても楽しそうで見ていてこっちも心が気持ちよかった。二人でクレープを食べに行ったり遊んだりしていて僕といるときよりも笑顔が増えていた。 卒業の一ヶ月前。由美は本当の事を言う決断をした。僕と由美は要君の家にむかった。案の定、要君は何がなんだか分からないというような顔をしてたった一言 「覚えてろよ…」 そう言った。数年後。由美と三男の拓斗が轢かれ、彼方が襲われるという事件があった。由美と拓斗の命は助からずに他界してたしまった。加害者は昔、由美の彼氏だった要君だった。そのとき要君はこういったんだ。 「あのときのお仕置きだよ、彼方君のこと気に入っちゃった!また会いに行くからね!あーまたあの壊れた彼方くんを見れるのはいつかな…」 と。これが僕の過去の話。全ては僕が悪い。彼方をこんなにさせてしまったのも何もかも。

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