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救い

次の日もまた廊下で会った。 「お願いだから彼方君を救ってあげてくれないか…」 「だから、俺にはそんな資格ないって…」 あの日から俺は彼方に触れてはいけないし近づいてもいけないんだから… 「じゃあ、彼方君が寝言で君の名前をつぶやきながら泣いてるとしたら?」 「は?」 一瞬耳を疑った。そんなことありえるわけない。だってあの時、彼方ははっきりと嫌いって言ったはずだから…恨みが溢れて呼んでいるのかもしれない。 「吐いている途中に歩叶君に会いたいって言ってるとしたら?眠れないときは前に歩叶君が使っていたベッドに入って寝ているなら?前に君が君が使っていた枕を抱き締めて泣いていたならどう?」 「やめ、てくれよ…俺には…」 「君しかいない…君じゃなきゃ救えないんだよ!」 大きな声が響いて周りの生徒たちがざわつく。 「俺に…彼方を救う権利はあるのか?」 「権利とかじゃない…君が彼方君を本気で想っているのなら絶対に救える…保証するよ」 金崎の目は俺を真っ直ぐに見て本気という言葉が脳内に伝わってくる。 「分かった…やってみる」 そう言うと俺に彼方ん家の鍵を渡された。どうやら朔也先生から預かっていたらしく、もしも俺が行くなら貸してあげてと言われたらしい。 「行ってきます」 そう言って俺は走った。

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