76 / 132
自分がした事
目の前にそびえ立つ高い屋敷。
ここに来たという喜び。
同時に俺で良かったのか?、彼方をほんとに救えるのか?そんな不安が頭をぐるぐるしてお屋敷に入れないでいる。
「何やってんの?」
その人は俺を見つけるなり鬼の形相でやってきた。俺より高い身長で威圧感がすごかった。
「え…っと理人先輩?」
「人の大事な弟狂わしといて、今更何しに来たのかって聞いてんの」
その言葉の重みに自分がどれだけの罪を犯してしまったのかが身にしみる。
「すいませ」
「だから謝れば良いと思ってんの?お前さ、まず自分が何をして何を反省してんのか言ってみろよ」
頭の中にいくつもの事が浮かぶ。
「彼方から…目を放した事と、彼方を守れなかった事と……えっと…」
「ほんとに自分が何したかも分かって無いんだ…呆れるよ…目を放したとか守れなかったとかお前だけのせいじゃなくて護衛がほとんど悪いんだろ?それに彼方はそんなこと全く気にしてなかったぜ?」
「じゃあ…」
分からない…何を考えても思いつかない。俺は何を犯した?何をしてしまった?焦る頭で考えてはみるものの浮かんでくるのは守れなかった事だけ。
「お前さ…なんで今まで彼方に付き添ってやんなかった?」
「それは彼方に…」
「彼方に関わるなって言われたらからって精神狂って死にそうな人を放って置くわけ?関わるなって、それお前がこの先何も起こらないようにって、僕に関わったら歩叶君を傷つけちゃうからって…全てお前のためにしたのにお前は彼方になんもしてあげねーのかよ!」
理人先輩のこの言葉で俺の中は一瞬にして罪悪感で埋まった。何故俺は彼方を放っておいたのだろう…俺は結局何もできてない。ただ彼方から
「逃げただけなんだ…」
「お前はさ、彼方のこと好きなんだろ?だったら逃げないで現実を見ろ…多分彼方はお前の事を待ってる、早く行ってやれ」
彼方が待ってる…これ以上嬉しいことが思い浮かばない…
「ありがとうございます…っ…」
ともだちにシェアしよう!