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豪華な目覚め(Side彼方)

「ん……っ!」 目が覚めると目の前に歩叶君の顔がドアップであった。体のだるさを引きずったまま無意識に歩叶君の髪に手が伸びる。サラサラしていて指を絡めるとすぐに手から溢れてしまう。指の間を通る髪の一本一本が朝日に照らされて輝いている。 「…彼方は朝から積極的だな…誘ってんの?」 「なんで…おき…」 「昨日の気持ち良さ知っちゃった?」 「っ…!」 昨日の情事を思い出して一気に顔が熱くなる。でも、きもち、よかった…のは確かで…。体の芯が溶けていく感じがなんとも言えない感覚だった。歩叶君の蕩けるようなキスとか色気のある感じとか…最後は気絶してしまったけど…汚してしまったベッドのシーツも変えてくれる紳士なとことかホントにかっこいいと思う。 「何考えてるか知らないけど彼方勃ってるよ」 「え?は?!」 気づいたら自分の顔と共に僕のソコも熱を持ち始めていた。 「昨日の思い出したりとかしてたわけ?フフッ…」 「違う!」 歩叶君をバシバシ叩く。すると急に視界が真っ暗になって体全体に温もりを感じた。それが抱きしめられたと気付くのはそう遅くは無かった。 「…っ…よかった…また彼方に嫌いって言われるかと、思って…怖くて」 「え?何?どうしたの…」 歩叶君の体と声は小刻みに震えていて僕の肩を濡らしていった。

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