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もう怖くない

「理人…僕どうしたらいいわけ?」 昼休みに僕のとこに来た兄の理人に尋ねる。 「理人じゃなくていい加減に"理人兄ちゃん"とか"お兄ちゃん"って呼んでくれればいいのに…」 理人はすごいブラコンだ。小さい頃から僕に会うたびにこういうことを言ってくるけど僕には全くその気はない。僕が潔癖症ということもあって理人とは一緒に暮らしてない。だからあまり兄という感覚は無いのかもしれない。 「で、どうしたらいいって何が?また、歩叶ってやつになんかされたわけ?俺も2度目はホントに許さないよ」 いや、駄目だ。歩叶君に運動会に出ようって誘われたなんて言ったらしばかれる。でも僕もご褒美くれるんならとか言ったから大丈夫だよね…? 「僕に一緒に200m走にでないかって誘われて…僕にご褒美くれるなら出るって言ったんだけど、やっぱり出れる気がしないんだ…」 一瞬にして理人の顔が曇る。 「ご褒美って…俺の大事な弟を…」 「どうしたら良いかな?」 理人の顔が真剣なものとなり僕を真っ直ぐに見つめてくる。 「彼方がいいって言うならもちろん良いと思うよ?でも、そのせいでまた彼方が苦しくなるんだったら俺も黙ってないよ?もちろん彼方の姿も周りから見られるわけだし、喋りかけたり触られたりするかもしんねんだし…今は地味な格好してるから女どもも近づいて来ないだろうけど、事故でメガネとか取れたら…分かるよね?」 確かにそうだ。それなりのリスクはあるわけだしまた症状が酷くなるかもしれないし…でも今なら 「歩叶君がいるから大丈夫…」

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