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タイム(Side彼方)
「とりあえずタイム計るからみんな外でろ」
そう言って教室にいた全員が喋りながら下駄箱へと向かった。日この人混みに入るのは嫌だからみんなが出ていってから行こうとした。
「おい桜城、お前本当に参加して大丈夫なのか?」
心配していたようで先生が僕に手を伸ばしてくる。感情を消し、手を払って何も無かったかのように笑顔になる。
「先生が心配することじゃないです」
そう言って僕も下駄箱に向かった。
「じゃ、主席番号順に走るから、桜城は佐々木…その頭チクチクしてるやつの後な?」
頭チクチクしてるやつ…あっ、いた。ポケットに手を入れてダルそうにしてる人。首の近くから見えるは鎖…ネックレスだろうか?耳にもピアスの穴が開いていていかにも不良って感じの人。でも顔は整っていて…あまり関わらない方がいいかも…
「位置について…よーい」
笛の音がただただ鳴り響き僕の順番が刻々と迫る。最近走ってなかったから、遅いかもしれない。小学生の頃は自分で言うのもなんだけど、とても早かった。大会とかで普通に優勝してたし、中学校からの推薦も沢山来てた。
「…んじゃー次は佐々木と桜城な?」
「きゃー!佐々木君!頑張って!」
一瞬にして女子の黄色い悲鳴が響く。
「桜城君?だっけ…佐々木君と走るなんて運悪すぎじゃない?ハハッ!まあそんなに差がつかないと良いね…?」
どうやら佐々木君は女子からモテていて、足がとても速いらしい。
ふと校舎を見ると歩叶君が窓からこっちを見ていた。一瞬にして気合いが入る。歩叶君に僕のいいとこ一つぐらいは見せたい!
「頑張んなきゃ…」
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