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付き合う
「ここまでして僕の事守ってくれたの…」
「いや、まさか彼方があんな行動取ると思わなかった…いいの?あんな姿晒しちゃって…」
保健室で消毒液を歩叶君の傷につけながら頷く。
「僕にはあれぐらいしかできないから…触りたくないから暴力ももちろんできないし、自分の権力を使う事しかできないんだ…」
「チュッ」
一瞬にして視界が歩叶君で埋まって唇に温もりができる。リップ音が響きキスをされたと気づくのにはそう遅くは無かった。
「ありがとう彼方、俺あそこまでして守ってくれたのがすんげー嬉しい…カナメさんにやられてるときはもちろん誰も助けてくれなくて、俺のこと助けてくれたの彼方が初めてなんだよね…」
そう言って上を向きながら目をパチパチしている。彼はきっと涙を我慢しているのだろう。愛おしい感情が溢れ出てくる。無意識にすっと立ち上がって歩叶君に近づき自分の唇を触れさせる。歩叶君の口についている血をぺろっと舐めると口の中に鉄の味が広がり顔が歪む。
「彼…方?」
「…っ!忘れて!ごめん!」
数秒後に自分のした事に気づき顔に熱が集まっていく。手を目一杯広げて顔を埋め、声にならない悲鳴を出す。
「僕達…別に付き合ってる訳じゃ無いのに…嫌だったよね…?」
自分で言っておきながら心臓を鷲掴みされたように痛くて泣きそうになる。
「彼方?なんでそんなこと言うの?俺達付き合ってないの?俺は付き合ってると思ってたんだけど」
「でも僕、付き合ってなんて言われ…」
「言わなくても付き合ってるんだよ、彼方は俺と付き合うのやだ?男だから?」
「ちがっ…ごめんそういうつもりじゃなくて…歩叶君がその…はつ…こいっだから…そういうの分からなくて…」
「俺達は付き合ってるの、分かった?んじゃーさっきの唇ペロッとするのもういっか…」
「もう!やんないよ!」
その日の夜は二人でデートとやらに行く夢を見た。
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