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爽やか歩叶君

「プログラム5番、2年生による200m走です、選手の皆さんは入場してください」 愉快な音楽と共に選手一同が入場してくる。 「第一レース、田中君、吉田君、福原君、上川君、桐沢君です」 最初に走る選手たちが次々と前へ出ていきスタートの位置で構える。みんなの真剣な表情に飲み込まれそうになる。 「位置について、よーい」 「ドンッ!」 大きな破裂音と共に選手一同がゴールへ目指して走っていく。広報委員が状況を伝えながら会場を盛り上がらせていく。 やがて全員がゴールしてガッツポーズをしている者や悔しくて顔が歪んでいる人がいた。順位の書いてある旗のとこにそれぞれが歩いていって全員が座ると合図が出される。 「第二レース、多村君、桜城君………」 名前が呼ばれ返事をすると周りから女子の歓声がいっきに響き渡る。僕の姿バラさなきゃ良かった… 周りを見渡し歩叶君の姿を探すと一つだけ女子の塊があってその中にいた。 「彼方!がんばってな!」 「うん!」 今のでやる気100倍…これだけ囲まれていてもかっこよさは全然崩れなくてむしろ爽やかさが強すぎて目で直視できない… 「位置について…よーい」 「ドンッ!」 少し前ぶりの感覚が戻ってきて風に当たる感覚が気持ちいい…気温は30度超えで汗をかいているのが凄く気持ち悪くて体を洗いたい気持ちと早く歩叶君に褒めてもらって抱き締めてもらいたい気持ちでごちゃごちゃになる。 「ゴールしました!1位桜城君!おっと歴代記録の理人君と0,2秒差が出ました!」 広報委員の人達の声が頭の中に響く。また理人に負けた… 「彼方!」

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