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優しさ
「ごめんなさい驚かせたみたいで…私、同じクラスの金崎 光 です、多分、私の事分からないと思うけど…彼方君って潔癖だよね?ちょっと待っててね?」
そう言うと金崎さん?は突然水道に向かって手を洗い出し近くにあった箱から手袋を一枚取り出し消毒液を付け近くにあったマグカップを取りそれも洗って消毒をした。いつも美晴先生が使ってるコーヒーメーカーを消毒液のついた布で周りをしっかり拭きマグカップをセットする。
「彼方君はブラック?」
流れるような素早い動きに目が離せなくなって反応に遅れる。
「う、うん…」
「ちょっと待っててね」
「ピッピー」
保健室でよく聞いているコーヒーを注ぎ終わる音が聞こえる。
「はい、どうぞ!これで少し落ち着くと思うけど…」
僕に暖かいコーヒーを渡しながら微笑む姿は昔の母さんを思い出し心が暖かくなる。
「…っ…」
「ごめん!泣かないで…嫌だった?気持ち悪かったら飲まなくて良いよ…」
数秒後に自分が泣いていることに気づき涙を必死に拭うけど溢れてくる涙は全然止まらなくて顔を伏せる。
「違う…嫌じゃないよ…」
「そっか!良かった…私潔癖症の人への対応は少ししか学んでないから良く分からなくて、嫌だったり気持ち悪かったりしたら、言ってね?」
「学ぶ?」
「あれ?知らない?って知らないか…私、お父さんが金崎医院の院長で美晴お兄ちゃんの妹なの、お母さんは看護師やってて…みんなそれ関係だから家にはそういう本とかたくさんあって小さい頃からよく読んでたからそれなりの知識はあるんだけど…潔癖症に関しては5、6回ぐらいしか読んだこと無いから…」
あの有名な金崎医院の院長の娘ってことは凄いお金持ち…てか美晴先生の妹さんって…何度か妹はいるって聞いたことあるけどまさか同じクラスの子だったとは…それにしても凄い的確な対応をしてくれて僕の心も落ち着いてきた。
「そういえば私何度か桜城財閥さんのパーティーに出席してるんだけど…」
「ごめん…僕、出席してないか途中で逃げ出してるから…あんな人混みとか吐きそうになる」
「あ、そうだったんだ…だよね…じゃ改めまして宜しく!」
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